アトリエ系建築設計事務所に勤務するスタッフのひとり言

建築について、日々の生活について、感じた事を言葉にする。

久しぶりの投稿

久しぶりにこのブログを開いてみたので、ついでに近況を投稿してみる。

 

今はアトリエに入ってから約2年半になる。

 

これまでに住宅を2軒、店舗を2軒(1軒はほとんど施工店任せだけど)を経験して、現在3軒目の住宅を施工中である。

ちなみに4軒目の担当する住宅も既に決まっていて、基本設計に取り掛かろうとしている。

 

今ちょうど考えているのは、辞める時期についてである。

ここ最近は常にこれを考えているかもしれない。

もう半年近く前から考えているが、今担当を持っている物件を終えたら(おそらく来年いっぱいぐらい)事務所を辞めようと思っている。

 

理由はこの事務所で学べる事が減ってきているというか、自分の成長曲線が徐々に緩やかになってきていると感じるからというのが一点。

他には、だんだん仕事以外の事だったり、将来について考えるようになり、いまの仕事を続けていては出来ないような事にチャレンジしたいという事が一点。

でも、もしかしたら一番大きな理由は、今の状況がマンネリ化してきていて、新しい刺激のある環境に身を置きたい、という気持ちが大きいのかもしれない。

もしくは、単純にもっと自由になりたい、ということなのかもしれない。

 

とにかく今は仕事を辞めた時の事などを良く考えたりするのである。

 

という、今の心境をメモするだけの、そんな投稿である。

 

設計事務所の名前について

独立して設計事務所を構える時の事務所の名前について。

 

そんな事を考えている。

 

よくあるのは〇〇建築設計事務所(〇〇には個人名が入る)

 

これがおそらく世の設計事務所名では最も多いであろう。

 

ある種何も考えないでつける場合のスタンダードだろうと思う。

 

これは個人の名前が1番に押し出されるので最も分かりやすい。

 

事務所名を大きく二分するとこの個人名パターンかそれ以外かに分類できるだろうか。

 

個人名以外となると、例えばSANAA、サポーズデザイン、NAP、マウントフジ、などなど。

 

なんとなく自分のイメージでは組織化する事務所には個人名ではなくグループ名が多い気がする。

 

事務所名をつける時点で個人を打ち出す事務所でなく、グループとして建築を生み出していくイメージを持っていたのだろうか。

 

さて、

自分はどちらの道を選んでいくのか。

 

たかが事務所名、されど事務所名。

事務所名はその事務所のスタンスを表す非常に重要なものだと思う。

 

毎日新しい知識の連続

実施設計が始まったばかりだが、新しい知識の連続で、毎日毎日頭の中がアップデートされていく感覚です。

それはまるで小学生の日常のように。

学校で毎日授業を受けて新しい知識を蓄えていく。

小学生のような好奇心旺盛な子供心でいつまでも学び続けていきたいです。

「建築家は難しい言葉を使いたがる」という意見に対して

最近Twitterで「建築家はやたら難しい言葉を使いたがる。

だから一般の人に理解されないし煙たがられる」というような内容のものがあった。

 

まぁ確かに、そういう人も中にはいるというのは事実。

 

ただ私は分かりやすい言葉で話す事ができることは必要であると思うが、一般の人には分からないような言葉で話をできなければ建築家とは言えないとも思っている。

 

建築というのは奥が深く、そして難解だ。

それを一般の人が全て正確に理解するということはなかなか難しい。

 

その難解な内容をもなるべく分かりやすい言葉で理解できるように話をするのは建築家に求められる能力である。

 

しかし、伝わるのはそのニュアンスのような部分だけであって、もっと正確に理解するためにはやはり専門用語が必要になる。

 

建築のことをより深く、より正確に話をするためにはその世界の専門用語が必要なのである。

 

それは英語で言えば英単語のようなもので、語彙力が上がれば、話す内容もより正確に、より奥の深い話をする事ができるようになる。

 

だからこそ、建築関係者同士で話をするときや、論文を読んだり、建築を専門家向きに記述するような場面では専門用語が分からなければ建築家にはなれないのである。

 

ようは伝える相手に合わせて話す言葉を選ぶ事が出来るようにならなければならないということである。

 

 

 

アトリエ就活時の迷い、悩み

現在就活中である。

 

そして悩んでいる。

 

どこのアトリエに行くべきか。

 

どこも給料が安すぎる。

 

給料を取るか、やりたい仕事を取るか。

 

一人暮らしをするか、実家でお金を貯めるか。

 

 

将来の事を考えると不安ばかりである。

 

ちゃんと独立して仕事が取れるのか。

 

さてどの道に自分は進むのであろうか。

横内さん堀部さんのトークイベント

今日は新宿のozoneで開催した横内さんと堀部さんのトークイベントに行ってきました。

 
このトークイベント学生でも2000円もかかるのですが、堀部さんの話聞きたいし、横内さんの話も聞いてみたいし、倉方さんが司会やるし、って事で思い切って行ってみました。
 
で行った感想はというと、
めちゃくちゃ良かった!!
 
ほんと2000円払った価値はあったし、もし渋って行ってなかったら大損してた。
それくらい良い話が聞けました(あくまで個人的な意見ですが)。
 
どんな話をしたかというと、
まずは、今回のトークイベントがお二人の本を出版した事を記念するものだったので、
この本を出版することになったキッカケや、そこから話が弾んで、住宅とそれ以外の建築の違い、住宅の公共性についてなどを話された。
ただこれは良い話だったけど、全部書くと長くなりすぎるし、一番面白かったのは最後のとこなので詳しい内容は省略。
 
でここから、横内さん、堀部さんのそれぞれのショートレクチャーが始まる。
 
まず横内さんは、幾つかの影響を受けた作品とともに自らの作品も解説していく。
ここで面白かったのは、横内さんが学生の時に設計課題で作った模型と図面を出して、これが今作ってる作品とほんとに似ていて、「20歳の時の自分がやろうとしてた住宅といま作っている建築はほとんど変わらない」と自らおっしゃっていた。「20歳の自分が良いと思って考えた住宅を、いろいろな経験と知識を蓄えて今実現させている」とおっしゃっていて面白いと思った。
そしてまた、堀部さんはその模型と図面、プランの上手さに驚いていたw
 
そしてもう一つ良いなと思ったのは、その頃の芸大の教育が、今のコンセプト重視の教育ではなく、「それって本当に気持ちいい空間ができているの?」という価値観で判断されていたことである。その頃の芸大は吉村さんのお弟子さんたちなので、そういうライト、レーモンド、吉村順三という価値観で動いていたと。少し羨ましいなと思った。
 
さらに、設計課題の敷地が先生が実際に設計した敷地らしく、自分たちが課題を終えるとその住宅を見学させてもらえるらしい。自分たちの設計したスケール感をリアルに出来たものから感じれるのはとても教育的に良さそうだなと感じた。
 
また印象に残ったのが「建築は包まれてみないとわからない」という言葉だ。
よく行ってみないとわからないとは聞くが、包まれてみないとわからないという表現にとても納得させられた。
あとはインテリアのスケッチがめちゃくちゃうまかったなw
 
続いて堀部さん
堀部さんのレクチャーはもう3回目なのでだいぶ知っていることも多いのだが、だんだんとわかってきた部分もある。
堀部さんの場合、横内さんとは違い、外部の環境に対してそこまで寛容的、もしくは楽観的ではないと感じた。
ある種、自然はうるさいこともあるんだ!というネガティヴな部分も認識し、内部空間をつくっている。「外部空間にないものを内部空間に作り出そうとしている。人間は外に放っておくのは案外ツライ」のだと。
だから掃き出し窓よりも、見せる窓の方が多いし、部屋の中がとても明るいということはなく、割と照度は低くもある。
ただ、前回は寺社の中と外の一体となった空間について話していたので、半外部の気持ちよさに憧れていながらも、現実的な気温、照度などについては慎重なんだなと感じた。
 
こういうことに今回のレクチャーで気付けた。
 
そて、そこから再び3人のトークに戻るわけだが、
一つのテーマは木造について、もう一つは建築家の必要性、もしくはこれから建築家が生き残っていくにはという話だったと思う。
 
まず木造について。
堀部さんがまず、木造の技術はどんどん廃れていってしまうのではないかと。
それは、木造を学校で教えないし、さらに木造がどんどん制限されていく世の中の情勢にも触れていた。
清家さんなどの1950年代では、まだエアコンもアルミサッシもない時代で、いかに自然の風を取り込んで快適に住まうかということが、建築の工夫を生んでいたと。
あの時代が最もモダニズムが発展した時だと。
つまり、技術の進歩によって木造自体の工夫は衰退しているとのことである。
 
しかし、木造の可能性にも言及していて、一つは移築できるという利点。
木造は移築が可能なことで、素晴らしい建築は生き残ってきた。寺社も民家も、素晴らしい建築は移築して生き残ってきた。
もう一つは、木はなんでも作れるということ。
木サッシであったり、建具であったり、家具であったり、木はなんでも自分で考えて作ることができる可能性がある。
 
そして、もう一つの話題
建築家がどう生き残っていくかについて
 
最近は、ハウスメーカーが注文住宅を積極的に作るようになり、地方の工務店もその地域に根ざして気候風土をよく理解して設計ができるようになっているし、建築家からたくさん学ぼうとしている。
ハウスメーカー工務店の設計がどんどん上手くなっていき、今まで建築家の領域だったものが危ぶまれている。
 
そして今もう一つの問題は、建築家のツールであった無垢材や木製建具が使えなくなっていくことである。
さらに、いい職人が減り、いい材料も乏しくなっていき、建築家にはどんどん不利な状況になっていくように思える。
 
ここで、2人がこういった状況で建築家の勝負できることについて話していて、
堀部さんはスケールだという。
スケールの良さは建築家が勝負して勝てるものだと。
そして横内さんは、とにかく勉強して図面を書くことだと。
ハウスメーカー工務店に負けないように、ひたすら勉強すること。
 
住宅のいいなーと思わせる勝負はスゴイ!と思うドキドキではなく、ジワジワとくる気持ち。
それは、これだけで良いものが作れるんだという、少ない言葉で確信をつくような視点が重要。
 
また信頼関係を気づく重要性についても話していて、もし何か問題が起きても信頼関係ができているか、ないかで問題の大きさが大きく変わる。
だからこそ信頼関係を気づくことはとても重要。
 
そして設計料は決してマケてはいけない。
自分の仕事に責任を持つためにも設計料はしっかりとる。そして、もし問題が発生したら自腹で治す。
 
さらに、コスト管理の重要性。
コスト管理ができないことは建築家の信用に関わる。
 
最後はまとまりがなくなってしまったけど、自分が将来建築家になるとして、不安に思っていた事などをズバリ言ってくれていて、とても勇気をもらった。
建築家がどうやって今後仕事をしていくのか。
自分は何で勝負するのか。